旭岳コロナロード
こんにちは、旭岳土木作業員です。
年に一回が恒例となりつつあります、ブログ更新です。
さぼっているんじゃなくて、本業を頑張っているのです。
さて、新型コロナウイルスが大流行しはじめたらしい2020年3月、私旭岳土木作業員は旭岳の雪を掘って営んでいたかまくらBar"ウサギ小屋"を早早にクローズしました。
お客の9割を占めていた海外の方が減ったのと、かまくらの天井が低くなってまっすぐ立てなくなってきたためです。
おそらく日本で一番最初に新型ウイルスの影響を受けた飲食店(冬季限定)だったのではないでしょうか。
春、例年よりゆっくりひっそり、山は開かれました。
旭岳を訪れる人々は、ロープウェイを降り外に出てマスクを外すと、みんなほっとしたような顔をしていたように思います。
酸欠や熱中症で倒れる人を続々と運び下ろすことにはならなそうで、我々もほっとしました。
夏、この10年間ずっと直したいと思っていた登山道の木道を、直せることになりました。
転がっている石だけで直すのとは違い、木道にはお金がかかります。
それがなんと、お金が!手に入ったのです。
資金は新型コロナ関連の助成金でした。コロナの棚ぼたです。
場所は旭岳の、ロープウェイ山麓駅から5合目の姿見の池方面へと登る天女ヶ原登山道です。
この仕事を始めたころ、これ直さないんだろうか…と思っていた木道は、この10年で立派なトラップに成長していました。
ロープウェイを使わずに下山できる道なので、「この道通りたいんだけど、どう?」と登山者に聞かれることが時々あります。
その度に、トラップに気をつけよ…と答える土木作業員。
登山者の足を引っ掛ける超ビッグカスガイ、踏むとシーソーのように反対側が跳ね上がる木道、躓く人を草陰で静かに待っているボルト…
もちろん時々カスガイを抜いたりボルトを打ち込んだり木材を蹴っ飛ばしたりはしていましたが、湿原ということもあり、雨が降れば水没する道でした。
それを、やっと作り直せることになったのです。
まずピカピカの木材を買って、防腐剤をギタギタに塗ります。
その運搬をコロナ騒ぎで体力を持て余す高校生たちが手伝ってくれました。
バキバキに腐った古い木道はチェーンソーやカケヤでぶち壊し、新しい木道を設置します。
そして、今回の木道は木だけで作ることにしました。
カスガイやボルトを使うとそれらはいつか再び牙を向いてくるし、何より木材がその接合部分から腐りやすいのです。
原因は木と鉄の間で発生する結露や収縮率の違いなど。
実際、古い木道もカスガイやボルトの連結部周辺だけが腐り、他の部分はまだ使えるという所が多くありました。
木だけでもうまくいくと決まったわけじゃないけど、まあやってみればわかります。
もし何らかの超常現象によって驚異的なスピードで朽ちていったとしてもすべて土に帰れ!作戦です。
ホゾを組んだりする時間はないので、木材に穴を開けて木の棒を打ち込み、組み立てます。
そんなに面倒くさくありません。
実は、そもそも木道なのか?というところからもう少し試してみたいことがあったのですが、今回はとりあえずこんな感じ。
そして夏が終わり、登山道の入口部分と湿原の一部に新しい木道を敷くことができました。
しかしまだ補修が必要な場所はたくさん残っています。
そんな時、毎週のように旭岳に来ている方から、木足りましたか?と聞かれました。
「腐った木がまだ張りついてるところが足りなかった分ですっ」
土木作業員は遠慮がちにキレてみました。
すると、
「資材費寄付しますよ」と…
なんということでしょう。ありがとうございます。
寄付してくれたのは、医療法人社団創成さんです。
さっそく追加で木材を購入し、また防腐剤塗り…運搬…とやっていたところで時間切れ。登山道は雪に沈みました。
というわけで、今年の夏をお楽しみに!
お手伝いに来てくれてもいいんですよ!
昨年手伝ってくれた方々も、ありがとうございました!
そしてよく来てくれるボランティアの大学生たちと、ベンチも作って置きました。
ついでにこんな削れた場所も、石で直してみました。
拾ってきた石はタダですからね。
ここを直していたとき、すぐ近くの木にクマタカが飛んできてとまりました。
白くてでかいなーと思いました。猛禽はいいですね…。
実は新型コロナってちょっとたちの悪いただの風邪なのでは…と思っていますが、ボロボロの木道がコロナロードとして復活したことについては文句ありません。
ただ雪の降りしきる10月の旭岳に、単独で荷物も持たない薄着の若者が、2人ほど来ていたのが気になるところです。
これまでも自殺希望者はたまに来ていましたが、若い人はあまりいなかったんだけど…
今年は何回かはブログ書こう…と思っています。
2019年の話が序章で終わっている…
旭岳七不思議も完成していない…
ちなみにこのブログの目的は旭岳七不思議を世に広めることです。
世界を恐怖で支配する方法もこの一年でわかった今、一刻も早い七不思議の完成が待たれます。
ではまた。
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