旭岳研究所

旭岳はすっかり雪山です。
旭岳での土木作業の続きは6月、雪が解けてから再開します。
先日、秘密裏に行われたいくつかの会合に参加してきました。
議題は大雪山のクレーター、お鉢平に出現したUFO基地について。
ではありませんでした。残念ながら。
それらの会合の内容は、登山道の補修の方法からその仕組み作りに始まり、大雪山における問題点の洗い出し、課題の優先順位、システムの構築等々…こんな議論がされているなんてあまり知られていないのではないだろうか。あの雄大な大雪山には、実はたくさんの思念が渦巻いているのです。
会合の結果、まとめると、外国人の増加、登山道やトイレ問題、情報発信のあり方など、変化への対応がここ最近のポイントのようです。
みなさんもぜひ思念となって大雪山に渦巻いてみてください。
旭岳土木作業員も、地面をほじくり返したりサイケデリックなTシャツばかり作ってヘラヘラしているだけに見えるかもしれませんが、実はいろいろ考えています。主な悩みは、やっぱり土と石と植物と道のことです。
土や植物に、あなたはどうしてそうなってしまったのですか!?これからどうしていきたいのですか!?と問い詰めても、はっきりした返事が返ってこないので困ります。
そこで彼らと会話する方法を探るべく、旭岳ラボを設立しました。もちろんワンオペです。
2018年9月はじめ、北海道では大きな地震があり、停電で旭岳ロープウェイも動かなくなりました。旭岳山麓の野営場に水の配達に来た旭岳土木作業員は、そのまま登山道を登り、道端に座り込んで植物の芽を数えるという一日を過ごしました。
穏やかに晴れていて、旭岳周辺に取り残された人たちが数人、歩いていました。
こちらの写真は登山道脇の斜面です。カラフルな丸が、イライラしながら数えた植物の芽です。今年出たばかりの芽は3~10mmほどなので、写真ではよく見えません。
これらの芽、次の夏にはどうなっているでしょう。
旭岳ラボ研究員は、場所によっては全く残っていないだろうと予想しました。
主な理由は霜柱です。
秋、根雪になるまでの間、土の地面には霜柱が立ちます。そこにあった石は霜柱に持ち上げられて右往左往、霜柱が崩れると同時に低い方へ転がっていきます。土の中に埋まっていた大きめの石すらはき出されたりします。5ミリくらいの植物の芽なんかパラパラ散ってしまいます。

このような状態になる流れの一つは、
①人が植物の上を歩く
②植物が踏まれてなくなる
③踏み固められて低くなった地面に雨水などが流れる
④流水で地面が削られて周りとの高低差が広がり、斜面ができる
⑤斜面に霜柱ができて石や植物の芽がはがれ落ちる
⑥なんらかの安定状態になるまで、そうしてハゲ続ける
です。

なので、1,歩く人は植物を踏まない。2,土木作業員は排水溝を大量生産。3,植物は頑張ってふえる。各々こんな感じで生きていきたいですね。

しかし、震災の真っ只中、ただただ芽に丸をつけて喜んでいたわけではありません。
はたしてこれらの芽ははがれてそのまま消えてしまうのか、どこかに引っかかって生きていけるのか、そしてその環境とは?それを土木作業員が作ることができるのか?そんな実験です。
旭岳ラボでは2年ほど前からこのような実験・観察を行っています。
それについても追って報告します。